このところブログの更新が滞っていました。申し訳ありません。
ここ最近、患者さんとお話をしたりインターネットを検索をしていて気になっていることがあります。
それは医療情報の押し付けのようなことです。
多くの方が須らく行う必要のある予防処置やホームケアは実は多くはありません。
その様なものを「健康意識の高い人」に対して行うことが当たり前のようにお話をして負担を増やすことは良いとは私には思えません。
特に子育て中の方のお子さんの健康を願う気持ちにその様な情報を押し込むことは、負担を増やし肉体的にも精神的にも追い込んでしまう可能性もあります。
また、人それぞれ複雑な事情もあります。闘病中の方、介護中の方、お仕事が特に忙しいタイミングの方、そのような方に不確かな
情報で健康を謳い負担を強いることが良いこととは私には思えません。
「まだ良いかどうかはっきりわからないけど。良い可能性があるならやったほうが良い」
これはとあるSNSで見かけた言葉です。
私にはこの言葉が相手のバックグラウンドなどに配慮がない医療サイドの押し付けのように感じ好きにはなれません。
私は医療とは患者負担を減らし、生活の質を向上することが目的であると考えていますので、最小限であるべきと感じています。
この最小限は個々により異なるので多様であり、ある人に当てはまることも他の人に当てはまらないこともあると多々あるため
難しい側面があります。
以前に当院の記事でエビデンスについてを簡単に書きました。
正確とは言えませんが簡単にまとめると
エビデンスが強くあるものは、全体の中で多くの方に当てはまるもの。多くは当てはまるけれど中には当てはまらない方もいらっしゃいます。
そしてエビデンスが強くないものは、まだデータが不足していて皆さんに当てはまるかどうか分かっていないものか、効果がないもの、もしくは少数や一部限定条件のもとに当てはまる可能性のあるものです。
このあたりがちょっとややこしいですね。
さて、本題ですが歯科情報の中で私が気になるものは、エビデンスが強くあるとは言えないものを万人の方にお勧めしているケースです。
少し分かりにくいですが、エビデンスが強いとは言えないものでも現場で患者さんを精査したうえで個々に当てはまると判断され行われるものは少なくありません。
しかし、この精査の上で個々にあてあはまると判断されたうえで推奨される情報があたかも万人に当てはまるかのように発信されているケースが散見されます。
よく目にする情報を少し書いてみます。
私は基本的に情報を発信する際にはその根拠としている論文などを必ず紹介をしていますが、今回は複数を簡易的に取り上げますので全てを論文などで紹介することはできません。ご了承ください。
1 【幼児期に同じ食器を使わず虫歯菌を移さなければ虫歯にならない】
これは、誤りである可能性が高いです。これを実行するために子育てをされている方の負担を増やしてしまいます。
過去に記事を書きましたのでそちらを参考にしてください。
2 【フロスを必ず使用したほうが良い!子供も含め】
こちらも以前記事にしていますが全ての人に必要とはいえず一部の人には必要な可能性がある程度です。
虫歯の予防効果は疑問がありますし子供に必要かは慎重に考えるべきす。
歯周病の予防効果はないとは言えませんが、歯間ブラシのほうが効果は高そうです。
そしてリスクもあります。歯茎が下がってしまう可能性があるので必要であると専門家が判断する場合を除いてはやらないほうが良い可能性があります。
3 【キシリトールで虫歯予防】
こちらも以前記事に書いています。
今のところキシリトールの直接的な虫歯予防効果は判断が難しいところです。
ただし、無糖のガムをかむことにより唾液が出ることを促しその唾液による虫歯予防効果は少し期待できる可能性はあります。
キシリトールでなくても無糖のガムで良い可能性もあります。キシリトールは体質によってお腹が緩くなる方もいますので過度の期待は注意ですね。
根拠の不確かな情報に踊らされずなるべく少ない手間で予防や治療をしましょう。